出来ないことは可哀想なことなのか その他 | 2010-07-11 Sun

子供からの親への問題提起的なメモ。
大人として言いたいこともあるでしょうが、
こんなのもあるよ、程度に見てもらえれば。

・出来ないことは「可哀想なこと」なのか

おいらは小学校低学年の頃から1日1時間、毎日家で勉強してました。
母は専業主婦でしたので、勉強は彼女に見てもらっていました。
勉強に使うのは宿題とは無関係の計算ドリルとか国語のワークです。
出来たページ数に応じてお小遣いをもらっていました。

そのおかげで何ひとつ躓かず、
小学校6年時には、学校の成績もクラス30人のうち、
一ケタ台くらいには食いこんでました。
中学受験組で塾通いしていた子が少なからずいたことを考えれば、
かなりの成果であったことは間違いないと思います。

でもね、勉強が楽しいと思ったこと、殆どないのですよ。

漢字なんて間違えるとノートに何度も書かせられて、かなりイライラしました。
その結果、ノートにぐしゃぐしゃ落書きをして怒られたこともあります。
親が「勉」の字を間違えて覚えていたせいで、
無駄に間違った漢字を練習させられ、
学校で恥をかいたことも一生忘れないでしょう。
漢検2級は持ってますが、未だに「短」が書けなくなる程度には漢字が嫌いです。

つまらないことばかりではなかったのは事実です。
例えば、算数の簡単な問題を解くのは楽しかった。
でも、「できればいい」のであって、理解なんてさっぱりしてないのですよ。
図形の面積にせよ時間の概念にせよ分数にせよ速さの公式にせよ。

「出来ればいい」のであり、
そのために必要なのは「疑問を持たない」ことでもありました。
つまり、私の自宅学習の記録というのは完全なる作業に過ぎなかったわけです。
考えてはいけないんです。
だってそれは、面倒で時間がかかり、親に叱られるだけのことなのだから。
必要なのは「公式の暗記」であり、
パターン化された問題をいかに公式にあてはめるか、ということなのです。

母は言いました。
「出来ないのは可哀想」だと。
出来なくて勉強を嫌いになるのはそりゃ苦痛でしょう。
でも、出来ても嫌いなら意味がないんじゃないですか？

公式にあてはめる練習をし、暗記をすることが
学ぶことなのでしょうか。

ちなみに、強制されていたこの1時間は、
思春期に入ってあっけなく崩壊しましたとさ。
そりゃお小遣いにつられて毎日何ページとやってただけだもん。
小遣いなんていらねーよ、となってしまえばやらなくなりますよね。

人間って意味付けされなきゃ、やる必然性を感じないならやらないのですよ。
将来苦労するよ、とか、恥ずかしい思いをするよ、ではなくて
例えば知識がなければこういうことになるかもしれないんだよ、と
具体的に言ってあげるのが、優しさなんじゃないですかねぇ。
その上で、単なる作業ではなく、考えることを通した楽しい学びを、と
思ったりする。凄く難しいんだろうけど。

ある社会学者も、人間は学ぶ必然性を感じなければ学べない、と言っています。