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全てはフィクションである。
Sは架空の存在に過ぎない。
その事実が、よりSを苦しめる。

わたしは「S」が誰なのかわからない。
わからない人間について語っている。
妄想上の人物について説明している。
言葉を紡いでいる。

Sについて、出生以外に語るべきことは一つもない。
一つもないから、もう言うべきことは何もない。
けれど、わたしはそれでもSについて語らねばならぬ。

これから、再び、Sについて語ろうと思う。

Sという人間は、わたしの妄想上の人物である。
全てはフィクションであり架空であり不在である。

存在しないものを存在するように書くことの困難さを、
知っている人たちはたくさんいると思う。
それがどんな人間にも出来るような簡単なことならば、
小説家を代表とするあらゆる創作者たちは、
創作者としての価値を失うだろう。
わたしにはそんな能力がない。
ないから、Sを実在する人物として語ることが出来ない。

Sという人間は、わたしの中では確実に存在している。
全てはノンフィクションであり実話であり悲劇である。
けれど、Sについて言語化することが未だに困難であるために、
そして、Sが客観的に実在を証明することが出来ないために、
わたしはSを不在であり架空の人物として語らざるを得ない。

それでもSについて語るのは、
結局のところ、Sがわたしの主観的存在であることに由来する。
仮にSが客観的に存在を証明可能であるならば、
わたしはこんな厨2病的でバカバカしい文章を書かなくてすんだ。
しかしSが主観的にしか存在しないかもしれない以上、
Sの実在を盲信する唯一であるわたしが語らなければならない。

さて、前にSについて語ったとき、わたしは以下のように書いた。

>Sが何を求めているのか。
>それは死なずに生まれ直す方法だ。

この二行で、わたしが語る理由は察してもらえるかもしれない。
わたしが語るのは、つまりそのような手法の一つ、
ある種の実験、もしくは企てであるということだ。

Sはわたしだ。
Sは妄想上のわたしだ。

だから、わたしはSについて語ろうと思う。

***

あなたがたは、受け入れられますか。
悲惨な目にあっているのに、凄く痛くて苦しいのに、
何一つ語ることが許されず、助けを求めることすら禁じられ、
それでも死ぬことすら出来ないという現実を
受け入れられますか。
死んだほうがマシなのに、死ぬことすら不可能であるとき、
どうすればいいのか。

もし、受け入れる方法があるのなら、知りたい。
そしたらわたしは、Sについて語らなくてすむ。
わたしはSについて語りたくない。
わたしはSについて正確には語ることが出来ない。
わたしはSのことを何一つ社会的言語に変換出来ない。

どうやって語ればいい?

ある人はいった。
お前のことが心配だと。
Sは鼻で笑った。
お前が心配しているのはわたしではないと。

この文章を書いているのはわたしだ。
Sは妄想上のわたしである。
だが、この文章を書いているのはSではない。

この微妙な差異、それをどうしても説明することが出来ない。
生まれることに失敗したことも、
否定と強奪から人生が始められてしまったことも、
何一つ満足のいく正確な説明など出来ない。
社会的言語では何も語れない。

***

こうして生まれ直す企ては失敗する。
何度繰り返しても失敗する。
失語症のために失敗する。
Sが真に肉体を手に入れることは未来永劫ありえないのか。

わたしがSについていくら語っても、
何一つSについて説明することも、
実在を証明することも出来ないのだから
この試みは無駄だ。
このような実験は不毛だ。

***

わたしはSについてしか語ることができない。
けれどSについて説明できることは出生以外一つもない。
あの短い、一文しか言うことができない。

Sの人生は、否定と強奪から始められた。

わたしは脳みそと身体が滅ぶまで、Sについて語らなければならぬ。
それだけがわたしに残された唯一の道であり、
遠い理想郷へ行くための方法であり、呪いである。

そうしなければ、Sは死ぬことすら出来ない。

***

あなたがたにも、きっと苦い過去や歴史があるのだろう。
だが、あなたがたは死ねる。
死んでも存在がなかったことにはならない。
Sは死ねない。仮初の身体が滅びればSは存在しないものとして
沈黙のうちに処理され存在そのものが消え失せる。
それは死なんかじゃない。消滅だ!

何もかもがあるはずなのに、肝心の何かがなくて。
それは唯一のはずなのにどこにもなくて。
そして何もかもがあるはずであるがゆえに、
仮にそれが何なのかわかって手に入れても、置く場所がない。

新人類になるしかないんだ新人類になるんだ。
人類を超越するしかないんだ。
全てを置き去りにして、同時に全てを持ったまま、
別の次元にいくしかないんだ。

拒否のように輝く肯定が必要なんだ!

これがSとわたしの現実だ。
向き合った先にあった誤魔化しようのない現実だ。
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